カテゴリー別アーカイブ: 頭痛の種類

薬剤誘発性頭痛

日常的に頭痛に悩まされている方が、鎮痛剤を毎日のように服用していることでますます頭痛を悪化させているのが薬剤誘発性頭痛です。
「薬物乱用頭痛」とも呼ばれます。
男性より女性に多く、もともと頭痛持ちだった方の頭痛が、薬物乱用頭痛へと発展するケースが多いようです。
日本では、緊張型頭痛、偏頭痛に次いで多い頭痛です。

鎮痛剤は日常的に飲み続けることで、次第に効き目を感じにくくなります。
薬を飲んでも、頭痛が改善されなくなっていくのです。
市販の鎮痛剤を1か月の間に15日以上(カフェインが含まれていれば10日以上)にわたり飲んでいると、その頭痛は薬剤誘発性頭痛の可能性が高くなります。
頭痛は苦痛を伴う症状です。
本格的に痛み始める前に鎮痛剤を飲んだほうが、効果をより感じやすいようです。
痛む前から鎮痛剤を飲むことが習慣化することで、痛みが来ても来なくても、痛みの不安から鎮痛剤に頼るようになります。

頭痛の特徴は、偏頭痛と緊張型頭痛が合併したもので、吐き気を伴うことが多いです。
痛みは頭部全体から後頭部にかけて、一日中発生します。
薬剤誘発性頭痛の疑いがある時には、自己判断で鎮痛剤を常用することを控え、医師の診察を受けましょう。
治療は、最終的には鎮痛剤の離脱を目指します。
これまで乱用してきた鎮痛剤を中止することで、頭痛が消失したり、軽減されます。
「頭痛日記」をつけて、頭痛が起きた日数や、服薬記録を医師と共有することが大切です。

労作性頭痛

ほとんど知られておらず、とてもマイナーな頭痛です。
特徴は、頭痛を引き起こす原因が必ずはっきりと存在していることです。
咳をする、重い荷物を持つ、走る、泳ぐといった運動が原因と言われています。
頭部全体に激しい痛みを生じます。
脈に合わせて痛みが続き、身体を動かすことで痛みが増します。
痛みは短くて5分、長ければ24時間、持続します。
頭痛を引き起こす原因は分かっても、頭痛が引き起こされるメカニズムは、いまだ解明されていません。

病院でMRIやCTを撮っても、何ら異常が見られません。
そのため本人も労作性頭痛と分からないまま、周囲から仮病を疑われて悩むことが多いのです。

労作性頭痛が、一生にわたって持続することは稀だと言われています。
ある時期に突然症状が現れ、数年間続いたのちに治ってしまう可能性が高いのです。

咳をする、階段を上るといった日常の避けられない動作が頭痛のきっかけになる場合には、薬物治療が行われます。
その際は、「インドメタシン」(インダシン、インテバンSPなど)いう鎮痛剤が効果的です。
運動することが前もって分かっていれば、30分~2時間前に薬を飲むと良いようです。
しかし、日本ではまだ薬物治療の詳しい研究が進められていません。

自分でできる対処法としては、どのような動作や刺激が頭痛の原因になるのかを、自分なりに知ることが大切です。
そうすることで、原因となる動作や刺激を避けることができるようになるからです。

低髄液圧性頭痛

低血圧の女性に多く、耳鳴りや集中力の低下、記憶力低下や倦怠感など、様々な症状が現れます。
横になると症状がやわらぐものの、起き上がると15分以内に頭部全体に痛みを感じることが特徴です。
起床後30分間がもっとも痛いといわれています。
痛みが生じる際にめまいを伴う、胸がムカムカするといった症状が現れることもあります。
腹部に力を入れていきんだり、首の付け根の血管を押さえて頭痛が軽減される時には、低髄液圧性頭痛が疑われます。

交通事故やスポーツ、出産といった脳への衝撃が、低髄液圧性頭痛の引き金になっているとも考えられています。
脳に一時的な衝撃を受けて脳脊髄液圧が急激に上昇したときに、腰椎から脳脊髄液が漏れ続けて減少することで、様々な症状を引き起こす可能性が指摘されています。

脱水を起こすと頭痛が悪化してしまいます。
日ごろからこまめに水分を摂ることが大切です。
高熱や下痢は脱水症状を引き起こしやすく、特に注意が必要です。

あまりなじみのない頭痛ですが、過去に交通事故でむち打ちを患ったことがあり、いつまでも完治しない場合、この頭痛が潜んでいる可能性もあります。

医学的な治療は、「ブラッドパッチ」という方法が効果的だとされています。
これは、患者さん自身の血液を体内に注入することで、漏れている脳脊髄液を止める方法です。
自分でできる対処法としては、きつめのベルトや下着を身につけて、腹圧を上げることなども効果的です。

頭部神経痛

頭部神経痛は、顔や後頭部の皮膚の表面がチクチクと痛みます。
痛む部分やその周りに触れると痛みが増すのが特徴的です。
髪の毛が触れただけで、静電気がビリッと走るような痛みが繰り返されることもあります。

痛みが止まっている間を「間欠期」と呼びます。
この「間欠期」には痛みを全く感じません。
痛みはあくまで瞬間的なので、ずっと同じ痛みを感じ続けることはありません。
しかし、人によっては1か月、2か月といった長期にわたり、瞬間的な痛みが続くこともあるのです。

偏頭痛は、脈拍に合わせてズキズキとした痛みがあります。
それに対して頭部神経痛は、脈拍とは同時性がありません。
また、指で押すと特に痛みを感じるところがあります。
これは「圧痛点」と呼ばれています。
圧痛点の有無が、頭部神経痛と診断する際の診断材料になります。

頭部神経痛のはっきりとした原因は、いまも解明されていません。
しかし、数多くの対処法があるので、症状を緩和したり改善することが期待できます。

耐えられないほどの強い痛みには医学的に、ビタミンB12の静脈注射が有効です。
自分でできる対処法は、痛むところを温めて血行を良くするのが効果的です。
入浴や、熱すぎない温度の蒸しタオルで温めるといった方法で、痛みを軽減させる効果があります。
冷たい湿布や氷で冷やしてしまうと、痛みを強くしてしまうので注意が必要です。
頭部神経痛には、鎮痛剤の効果はあまりないと言われています。

群発頭痛

偏頭痛が女性が多いのに対して、男性に多いのが群発頭痛です。
頭痛が集中的に決まって起きる時期を「群発期」と言います。
その期間に起こる頭痛が「群発発作」と呼ばれます。
群発期以外は頭痛が起こりません。

群発頭痛の特徴は、強烈な痛みにあります。
様々な頭痛の中でも最も痛いと言われています。
片方だけの目の周りや奥に耐えられないほどの痛みを伴うことが多くあります。
睡眠中に頭痛が起こると、飛び起きるほどの痛みがあります。
頭痛以外にも、結膜の充血や目がたれ下がる、涙が出る、鼻水といった症状も出ることがあります。
三叉神経痛や偏頭痛との判別が難しく、正確に診断されるまで何年も要するケースもあるのです。

群発頭痛の原因は、いまはまだはっきりと解明されているわけではありません。
しかし、緊張や不安といった精神的ストレスや過労、睡眠不足、アルコールなどが考えられています。
血管拡張薬が頭痛を誘発することもあります。
偏頭痛とは異なり、遺伝的要素は少ないです。

自分で対処するには限界のある頭痛です。
治療は、酸素吸入法や薬による治療がメインになります。
耐えられないほどの激しい頭痛が周期的に起きる場合は、必ず医師の診察を受けましょう。
自分の群発期のサイクルを知り、医師から薬の処方を受けることで予防することは可能です。
群発期にアルコールを摂取すると、必ずといっていいほど激しい頭痛を引き起こしてしまいます。
群発期には必ず飲酒を控えてください。

偏頭痛

偏頭痛は読んで字のごとく、頭部の左右どちらかに痛みを感じる頭痛です。
頭痛を抱えている人の大半が、偏頭痛だといわれます。
左右どちらかだけでなく、両側が痛む人もいます。
男性よりも女性に多いタイプの頭痛です。

脈拍に合わせてこめかみから目の周りがズキズキ、ガンガンと痛んだりします。
吐き気を伴ったり、実際に嘔吐してしまうこともあります。
偏頭痛は、20~30%の方に前触れの症状が出るといわれています。
例えば視界が狭く感じる、フラッシュの光のようなものがチカチカとあらわれる、物が見えにくくなるなどです。
これらは「閃輝暗点(せんきあんてん)」と呼ばれます。

ほかには、手足がしびれたり言葉が出にくくなる場合もあります。
こうした前兆は、最大1時間以内に消失し、やがて頭痛が起こるのです。
前触れの症状は、頭痛のたびに現れる人もいれば、その時によって出たり出なかったりする方もいます。

偏頭痛の原因としては人ごみや騒音、まぶしい光、睡眠時間の取り過ぎ、睡眠不足などが考えられます。
過労やストレスも、偏頭痛と密接に関連しています。
女性ホルモンの分泌量の変動により、生理前に偏頭痛を感じる女性も多いのです。
家族の中に頭痛持ちの方がいることも多く、偏頭痛は遺伝的要素も強くあります。
前触れの症状が現れたら、早めに薬を飲むことが大切です。
大きな音や光が痛みを強くさせることもあるので、部屋を薄暗くして静かに休みましょう。
パソコンやテレビの電源は消して、目を休ませることも大切です。